ダーク・スター

ジョン・カーペンターの初の長編作品らしい『ダーク・スター』観ました。

ウィキペディア情報によると、カーペンターの中で監督・脚本・制作・音楽の4つをコンプリートしてるのはこの作品だけらしいです。

 

太陽系に存在する不安定惑星の爆破解体を使命とする作業員たちが、退屈な宇宙生活の中でいろんな事件に見舞われてしまう……というストーリーの作品なんですけど、作中で降りかかる事件が大体本当にしょうもない上、淡々と話が進んでいくので、観てると段々不安になってくる。

これ、宇宙船内での変化のない平易で絶望的な生活の雰囲気を出すためにあえてしてるんだと思うんですけど、作品的なヤマがマジで無いんですよね。ディティールが面白いから観れちゃうんだけど、全編を支配してるのはやっぱり退屈さで、でもそれは作られた「退屈」というか。作り手側が「これ、退屈なんですよ」ってメチャクチャアピってくる感じがあるんです。

退屈もエンタメに出来るんじゃないスか!?新機軸!!みたいなの、なるほど面白い発想だね~ハハハとは思うんだけど、実際マジでこんな実入りが少なそうなギミックで作品作っちゃうの、新人特有のキレた感じというか、怖いもの知らずさというか……とにかく凄いなこれって感じ。

 

「なんかやべー作品撮ってるやついる……」っていう恐怖の名刺にはなるだろうけど、常人はこれ観て、「おっ、こいつにビッグバジェットエンタメ作品撮らせちゃお!」とはならないじゃん、カーペンター君……きみ本当にそれでいいのか……? 面白さ第一主義で他のすべてを犠牲にして……っていう老婆心に包まれちゃって、まぁ結果的にはこの後大成功を収めたわけだけど、いや……マジ……天才でよかったね……の一言だよ……。

 

あと僕、宇宙で人が死ぬような話すごく嫌いなんだけど(怖いので)、これはなんか登場人物が全然悲壮感ないというか、ま、どうでもいっか!みたいな、ある種ハッピーな感じで死んでいくので、恐怖と幸せの同時攻撃にめちゃくちゃ脳がバグり、自分の混乱っぷりにちょっと笑ってしまいました。